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西日本自転車研修旅2018秋★レポート(デザイナー川崎)
2018.10.19
秋風が心地よい10月、かねてより実行を見計らっていた「自転車研修旅」に行ってまいりました。ロードバイクによる総距離700km7日間のビギナー旅です。
「今昔の 庭の輪ぞ行く 紅葉路」
と銘打ち、新旧の建築・庭・外構・街並みが、南下に従いいかに変化してゆくのか?を程よいスピードで感じながら、新たな領域のそと空間づくりに生かす目的です。
初日、Scale-5店舗より元気よくスタート、福井市越前海岸沿いの民宿まで80km、不慣れな自転車旅で体力の衰えを痛感しますが、マスターの温かみある出迎えとサザエつぼ焼き(なんとこれだけ食べて100円!)のサービスでやる気復活です。
越前海岸はなんて長いのでしょう!2日目もずっと右手に海、国道305号線でひたすら敦賀市を目指し、75km。海沿いの漁村特有の「鎧張り」と呼ばれるこの外壁、大変理にかなった工法で、港町の風情を感じる建築ですよね。海の幸を堪能した後、宿泊先では設計の仕事もやっております。
3日目は100km。いよいよお尻が痛い(ロードバイク初心者の初期症状)。初めてのパンク経験、近くに自転車屋さんがあってラッキーでした。素晴らしい晴天、旅の苦しみとの対比によるものか、琵琶湖は極めて美しいと感じました。滋賀県境、京都府境、2つの山越えは体力を奪いますが、京都駅では金沢美大時代のクラスメイト(二人とも業種違いのデザイナー)が焼肉・栄養ドリンクとともに待っていてくれて、久しぶりにデザイン談義に花が咲きました。やっぱり京都は素敵な街だなぁ・・・。ここで、台風接近のニュースが入り、サンダーバードで一度野々市に帰り、一週間後に再出発することとなります。
4日目は大阪府経由の兵庫県明石市着100km。淀川沿いのサイクリングロードは大変快適で、河川敷ですから当然、河口に向かい緩やかに下り続けるルートでした。交差点も少なく、安全の観点からも川沿いは狙い目ですね。川崎は大学卒業後、神戸市の専門学校でエクステリアとガーデンを学んだことがある中、当時のバイト仲間にも再会でき、感激でした。明石大橋を過ぎしばらく、宿泊場所近くでは名物「明石焼き」をいただき、しっかりと睡眠をとりました。そろそろお尻痛もなくなってきた頃です。
5日目、岡山市へはこの旅最長距離130km12時間運転。太平洋沿い強めのアップダウンロードも強烈で、さすがに疲れました・・・。岡山駅では前職の元同僚お2人(現在はそれぞれ岡山でガーデンデザイナー)と一献、これからのエクステリア&ガーデン業界についての情報交換と熱い議論で盛り上がりました。
6日目ともなればこの修行のような毎日に慣れてきます。広島県東部の三原市まで100km、前日に比べれば随分と近い!尾道市の西隣のこの都市では、尾道ラーメンはもちろん、ハーブを餌に育てる「神明鳥」なども大変美味でした。途中偶然、先般の豪雨被害を受けられた地域を通過、この時、数キロにわたり続く被災建築物に心が痛みました。泥で汚れた瓦屋根が、水没の事実を物語っていました。ただ同時に、この区間を走る間中、大工さんの金づちの音が・・・。それは復興に向け前を向いて進む、強い人々の心音に聞こえました。
7日目は自転車移動の最終日。広島県西部の宮島口へ。快晴に恵まれた瀬戸内海の美しさは、同様に海のきれいな金沢生まれの川崎でも息をのむほど。またこの瀬戸内海、本州からはいつでも海の向こうに四国や離島が見えていて、この風景自体が我々石川県民には不思議な感覚なのです。近畿中国地方はサイクリストに寛大だとは聞いていましたが、路肩の幅、凹凸の無さなどで、広島市手前の国道31号線が走りやすさNO.1でしたね。スピードにも乗って、120kmがあっという間に感じました。宿泊先近辺では「広島焼き」をいただき、明日に備えます。
「もみじ路」最終8日目は、この研修の最終目的地、「厳島神社」を早朝から散策。片道180円、近所の小学生も利用するこの宮島行きフェリーは、地元の方の通勤通学の足でもあり、10分毎に出航しています。干潮時期の大鳥居は根元まで近づけて、本州をバックにして淀みない青空に映えます。「本当にここまで来たんだなぁ」という実感がようやく湧いてきました。寝殿造りの荘厳な建築物はもちろん、五重塔や庭園、そして街並み自体の美しさ。「この島そのものが神様」という信仰の趣にうなづけるロケーションで、大満足です。
この日のうちに、山陽新幹線とサンダーバードを乗り継ぎ、Scale-5に戻りました(たった5時間・・・)。トラックが真横スレスレを通過したり、山の中で道を間違えてるうちに暗くなったりと、様々な恐怖もありながら、なんとか無事にやり遂げられました。そんな中この研修旅行で最も印象的だったこと、それは
「極めて小さなリュックひとつでも、人はどこまでも走り続けるられる」
という事への気づき。そこには、親切親身に助けてくれる現地の人々、そしてそのコミュニケーションの為に少しだけ勇気を出せる自分自身も必要不可欠ではあるわけですが。
オトナになると見えなくなる、自分の弱さ、そして自分のチカラ・・・二つの再認識を行ったり来たりしながら泥臭く過ごした8日間は、川崎の宝物となりました。
Scale-5は来年、7年目を迎えます。
この「極限までシンプルであることの意義」を私たちの事業に重ね合わせ、この目で見たもの、この全身で感じたことを生かし、新しいデザイン領域、新しいサービスへと向上させてゆこうと考えております。最後に、お客様・職人さん・Scale-5スタッフ、そして関わっていただいた全ての方々に、心からのお礼を申し上げます。